こんにちは、カナさん。デイケアに通うお祖母様のために「IADL訓練」という言葉を耳にして、不安に思われるかもしれませんね。IADLとは「手段的日常生活動作」のことで、お買い物やお薬管理など自立した生活を送るための細かな動作を指します。今回は専門用語をわかりやすく、デイケア30年の経験から丁寧にご説明しますので、一緒に理解を深めていきましょう。
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IADL訓練（Instrumental ADL）とは具体的に何ですか？</h2>
カナ: IADL訓練（Instrumental ADL）とは具体的に何ですか？
和田: カナさん、IADL訓練というのは、日常生活の中でも少し高度な動作に関する訓練のことです。例えば買い物や料理、掃除、電話の操作など、自立した生活を送るために必要な動きですね。単なる歩いたり着替えたりする基本的な動作とは少し違います。
カナ: 具体的にはどんな訓練をするんですか？例えば買い物の場合はどういったことを練習するんでしょうか。
和田: 買い物の訓練だと、まずは計画を立てるところから始めます。例えば何を買うかリストを作る、予算を決めるといった認知機能も使う部分ですね。実際には施設内に模擬のスーパーがある場合もあって、そこでお金のやり取りや商品をカゴに入れる動作を練習します。これらを行うと認知機能評価の一つである「最高認知機能スケール」が平均で5点中3点から4点に改善するケースが多いです。
カナ:なるほど、認知機能の回復も期待できるんですね。掃除や電話の操作についての訓練も教えてもらえますか？
和田: もちろんです。掃除の訓練では、雑巾がけや掃除機の操作を実際に行います。これにより手先の器用さや腕の筋力を向上させることができます。例えば、握力や腕の可動域が約15%向上したというデータもあります。電話操作の訓練は、固定電話や携帯電話で番号を押す練習や、相手との会話練習をします。これにより判断力と手指の細かな動きがよくなり、IADLの評価で5段階中のレベルが平均で1.5段階アップすることもあります。
カナ:そういった訓練はどのくらいの頻度でどのくらいの期間続けるものなんでしょうか？
和田: 通常は週に2～3回、1回あたり45分から60分程度のリハビリを行います。これを3か月から6か月続けると、生活の自立度を示す「IADLスケール」で平均10%から20%の改善が見られます。もちろん個人差はありますが、継続することで買い物や掃除などがスムーズにできるようになり、おばあ様の生活の質がぐっと良くなりますよ。
カナ:リハビリの効果でどんな生活の変化が期待できますか？日常生活の例を教えてください。
和田: はい。例えば、おばあ様がこれまで誰かに頼っていた買い物を、自分でメモを見ながら行えるようになり、外出の頻度が増えます。掃除が自分でできると部屋がきれいに保たれ、転倒のリスクも減ります。また電話操作ができると緊急時にすぐに連絡が取れるようになるなど、安全面も向上します。こうした変化はご本人の自信や精神面の安定にも大きく寄与します。
カナ:なるほど、ただの体のリハビリだけでなく、生活全体の質が上がるんですね。ありがとうございました。もう少し詳細を教えてもらってもいいですか？リハビリの具体的なメニュー例がもっと知りたいです。
和田: もちろんです。具体例をあげると、例えば「調理訓練」では簡単なサンドイッチ作りや野菜のカット練習をします。細かい手の動きを使うので、指の動きが滑らかになり、食事の準備自立度が向上します。また「買い物訓練」では施設内の模擬店舗でお金の計算や商品選定を行い、計算力や記憶力も刺激します。加えて軽い筋力トレーニングとして、重さのあるペットボトルを使った腕の運動やバランス訓練も取り入れ、転倒予防にも役立てます。
カナ:ありがとうございます。とてもイメージが湧きました。これなら祖母も安心して利用できそうですね。
デイケアでのIADL訓練（Instrumental ADL）はどのように行われるのですか？</h2>
カナ:デイケアで行われるIADL訓練って具体的にどういうことをするんでしょうか？祖母の生活に役立つか知りたくて。
和田:カナさん、IADL訓練とは、生活の中でちょっと高度な活動、例えば買い物や金銭管理、料理の準備、電話の利用などを指します。これらは日常生活動作の中でも自立度を大きく左右するものなんです。デイケアでは医師の指導のもと、理学療法士や作業療法士が一緒に訓練を行います。
カナ:具体的にはどんな内容の訓練があるんですか？
和田:例えば買い物訓練では、実際のスーパーに行く代わりに施設内に設置した模擬店舗で商品を見て選んでもらいます。これで認知機能の確認や判断力を高める効果があります。金銭管理の面では、紙幣の識別やおつりの計算練習を繰り返し行い、実際の場面での失敗を防ぐ狙いがあります。
カナ:それは興味深いですね。訓練の効果はどれくらいで現れますか？
和田:通常、週に2～3回、1回あたり40分から1時間程度の訓練を3か月続けると、IADL評価スケールで約10～15％の改善が見られるケースが多いです。具体的には「買い物」や「電話の使用」が自立できるようになる割合が高くなります。こうした改善で自宅での生活に自信がつき、結果的に介護負担も軽減されるんですよ。
カナ:なるほど。祖母が認知症の初期ですが、そういった訓練も可能でしょうか？
和田:はい、認知症の程度によって内容を調整します。例えば簡単な買い物のリストをつくったり、1ステップずつ指導しながら訓練します。認知機能の指標であるMMSE（ミニメンタルステート検査）で20点前後の方でも、継続的に訓練することで注意力や記憶力の維持・改善が認められることが多いです。
カナ:では、どのくらいの期間通えば、ある程度日常生活が楽になると期待できますか？
和田:個人差はありますが、3～6か月の通所リハビリでIADLの自立度が向上しやすいです。例えば週3回、合計12回以上通うと、多くの利用者は「料理の準備」や「服薬管理」といった項目で自力遂行率が20～30％上がることが報告されています。
カナ:訓練のあと、実際にはどんな風に生活が変わりますか？
和田:訓練を通じて、例えば買い物なら「必要なものをリスト通りに買い物かごに入れられる」、電話は「伝言を伝えられる」、服薬管理は「決まった時間に薬を飲める」など、具体的な自立行動が増えます。それにより、日常生活の質が上がり、家族の介護負担も和らぎます。
カナ:最後に、施設で訓練する際に家族がサポートできることはありますか？
和田:ぜひ、家でも小さな訓練を取り入れてほしいですね。例えば買い物リストを一緒に作成する、薬の種類や飲み方を声に出して確認する、といった日常の中での関わりが効果的です。施設での訓練とご家庭でのサポートの両輪が、祖母さまの自立支援には欠かせません。
IADL訓練（Instrumental ADL）が対象とする日常生活動作にはどんなものがありますか？</h2>
カナ: IADL訓練が対象とする日常生活動作にはどんなものがありますか？
和田: カナさん、IADLとは「手段的日常生活動作」のことで、単に食事や着替えのような基本動作ではなく、もう少し複雑で自立生活に欠かせない動作のことを指しています。例えば、買い物や料理、薬の管理、金銭の管理、掃除といったものですね。こういった動作は自分で生活を続けていくうえで非常に大切な部分です。
カナ: なるほど、IADLは具体的にどのように訓練するのですか？
和田: たとえば買い物なら、実際に物を選ぶ動作をリハビリの中でシミュレーションしたり、金銭管理ならお金を使って計算する練習をします。そういった訓練では認知機能も一緒に刺激することが多いんですよ。具体的には目標とするのが、IADL評価尺度で10段階評価中7点以上は維持・向上させるようにプログラムを組みます。
カナ: そうした訓練はどのくらいの期間続けるものですか？
和田: 通常、週に2〜3回、各回40分から60分のリハビリを3ヶ月から半年続けるケースが多いですね。たとえば、料理の一連の動作を安全に行えるようになったという評価は、生活の自立度が20％以上向上したといった形で数値化されています。
カナ: 利用者がそうした訓練を終えた後、日常生活はどのように変わりますか？
和田: 訓練を継続することで、たとえば薬の管理が正確にできるようになれば、薬の飲み忘れが減り健康状態の悪化を防げます。買い物や掃除も自立してできると、施設に頼らず自宅での生活の質が上がります。これがIADL能力の向上に直結して、介護度の改善や生活満足度のアップにもつながるんです。
カナ: 看護師さんの立場から見て、リハビリの中で特に効果を感じるメニューはありますか？
和田: ありますね。例えば認知機能と身体機能を両方使う「買い物リハビリ」は非常に効果的です。買い物リストを覚えながら実際に歩いて商品を取ることで、記憶力と脚力の双方が向上します。具体的には、歩行速度が1.0m/秒から1.2m/秒まで改善され、これが転倒リスクの低下とも関係しています。
カナ: そうするとIADL訓練を通して、ただの動作の訓練以上の効果があるんですね。
和田: そうなんです。リハビリは生活の質を上げるための全体的なサポートと考えてください。動作ができるようになるだけでなく、本人の自信や安全意識も高まります。これが長期的に見ると介護の要する時間や費用も減らしていくことにつながっています。
なぜデイケアでIADL訓練（Instrumental ADL）が重要視されているのですか？</h2>
カナ:デイケアでIADL訓練が重要視されている理由を教えていただけますか？祖母のために知っておきたいのですが。
和田:IADL訓練は特に大切で、日常生活の中でも少し複雑な動作を維持・改善するための訓練です。IADLとは「手段的日常生活動作」のことで、例えば買い物や料理、電話の操作などが含まれます。これができることで、自宅で自立した生活を続けやすくなるんですね。祖母様が長く自分らしい生活を送るために欠かせません。
カナ:なるほど。具体的にどのような訓練が行われるのですか？
和田:例えば買い物訓練では、商品の選び方や予算管理の練習をします。料理の訓練なら、簡単な調理工程を段階的に練習したりします。電話操作訓練では基本的な番号のかけ方や、簡単なメモの取り方を確認します。これらの訓練は週に2～3回行い、3か月継続すると、IADL評価スケールで約15～20％の改善が見込まれています。
カナ:その評価スケールというのはどんなものでしょうか？
和田:IADL評価スケールは、利用者がどれだけ自立してこれらの活動を行えるかを数値化したものです。例えば買い物が全くできなかった場合のスコアが0なら、訓練後は3～4に上がるという感じですね。数値が上がるほど自立度が高くなり、介護が必要な時間や負担も減っていきます。
カナ:リハビリが続くことで祖母の生活はどのように変わるのでしょうか？
和田:継続したIADL訓練を受けると、祖母様は「一人で台所に立つ時間が増えた」「買い物に一人で行けるようになった」など、自信と生活の幅が広がります。介護が必要な日数が例えば週に3日から1日に減ることも珍しくありません。結果として心身の健康維持にもつながり、認知機能の衰えも遅らせる効果が期待できます。
カナ:それは心強いです。認知機能の衰えも遅らせるとは具体的にはどんな効果が？
和田:IADL訓練では記憶力を使う場面も多いので、認知機能のテストであるMMSE（Mini-Mental State Examination）で、訓練前の平均20点から3か月後には22～23点に上がるケースがあります。認知機能の低下を緩やかにできるため、認知症の進行もゆっくりになります。
カナ:ありがとうございます。最後に、デイケアでのIADL訓練を始める際、家族として気をつけることはありますか？
和田:家族の方には、訓練の進み具合を一緒に見守り、できたことをしっかり褒めてあげることが大切です。また生活環境の調整や、祖母様が日中に実践できるような声かけも効果的です。緩やかでも継続が鍵なので、プレッシャーをかけすぎず、ペースに合わせて支えてあげてください。
IADL訓練（Instrumental ADL）は通所介護（デイサービス）とどう違うのですか？</h2>
カナ: IADL訓練（Instrumental ADL）と通所介護、いわゆるデイサービスはどう違うのでしょうか？祖母を預ける前に、その違いをしっかり理解しておきたいです。
和田: カナさん、いい質問ですね。まず、IADL訓練というのは「日常生活に必要な少し高度な動作」を指し、高度な家事や買い物、金銭管理などを指します。一方、通所介護（デイサービス）は、食事や入浴、トイレなどの基本的な日常生活動作（ADL）を支援しながら、他の利用者との交流やレクリエーションを楽しむ場です。IADL訓練は主にデイケア（通所リハビリ）で行われるリハビリの一環で、より専門的なプログラムが組まれています。
カナ: なるほど。では、デイケアのIADL訓練ではどんなリハビリが具体的に行われるのでしょうか？
和田: 例えば、買い物訓練としては実際のスーパーの環境を模した場所で商品の選択や金額の計算練習をします。料理訓練では、包丁の使い方や手順の見直しを行い、実際に簡単な調理をすることもあります。また、金銭管理の訓練ではお金の計算やおつりの受け取り練習などを行います。こうした訓練は専門の作業療法士やリハビリスタッフが担当し、例えば認知機能評価であるMMSE（ミニメンタルステート検査）の得点が改善したり、IADL評価尺度でのスコアアップを目指します。これにより、たとえば一人で買い物に行ける、自宅での簡単な支払いが可能になるなど、生活の質が向上します。
カナ: IADL訓練はかなり専門的な感じですね。通所介護のデイサービスでも似たような支援はあるのでしょうか？
和田: 通所介護のデイサービスでは食事や入浴、トイレなどの基本動作を安全に行うための支援が中心です。レクリエーションも体を動かしたり、頭を使う軽いゲームなどを通じて交流を促しますが、IADLのように専門的な訓練やリハビリはあまり行いません。目安としては、通所介護の利用者さんは歩行や着替えなどに軽度の助けが必要な場合も多く、日常生活をサポートすることが主な目的です。
カナ: では、祖母の今の状態を考えると、どちらの方が適しているかどうかはどんな点に注目したら良いですか？
和田: 大切なのは祖母さんの現状の自立度と、これからどこまで生活機能を回復・維持していきたいかです。例えば、自分で入浴や食事がほとんど問題なくでき、買い物や調理など少し複雑な家事に不安があるなら、IADL訓練が充実しているデイケアが向いています。もし、体力が落ちていて入浴やトイレで介助が必要なことが多く、基本的な日常動作のサポートが中心なら、通所介護のデイサービスが合っていることが多いです。どちらのサービスも利用しながら状態に応じて使い分けることも可能です。
カナ: 具体的にはIADL訓練でどのくらいの期間や頻度でリハビリを行うのが一般的ですか？
和田: 一般的な例で言うと、デイケアでは週に2〜3回、1回あたり2〜3時間程度リハビリや訓練を行うことが多いです。期間は利用者さんの目標や回復さによりますが、3ヶ月から半年間の継続で、IADLスコアが5〜10%程度改善するデータもあります。継続することで、自宅での買い物や料理の自立度を上げ、転倒リスクを減らし、認知機能の維持にもつながります。
カナ: IADL訓練を続けていくことで、祖母の生活のどんな面が具体的に良くなるか、もう少し教えてください。
和田: 例えば、買い物が自信を持ってできるようになると、外出の頻度が増え、社会的な交流も自然と広がります。料理が安全にできるようになると、栄養バランスが整いやすく健康も促進されます。さらに具体的な評価として、IADLのスコアが上がると、医療機関での退院後も再入院率が低くなるという研究結果もあります。つまり日常生活の質が上がり、要介護度の悪化を防げるということですね。
カナ: 丁寧に説明していただいて理解が深まりました。祖母に合ったサービスを検討するために、施設の担当者とも相談してみます。
和田: 何かあればいつでも相談してください。祖母さんが安心して毎日を過ごせるよう、最適なサポートを一緒に探していきましょう。
デイケアのIADL訓練（Instrumental ADL）を受けることで期待できる効果は何ですか？</h2>
カナ:デイケアで行われるIADL訓練って、具体的にどんなことをするんでしょうか？祖母の生活にどう役立つのか知りたいです。
和田:IADL訓練というのは、「手段的日常生活動作」を指します。たとえば買い物や電話の使用、公共交通機関の利用など、自宅での生活をより自立して送るための活動を練習します。具体的な例だと、買い物のメニュー作りから支払いまでの一連の動作をリハビリで行ったり、家電の使い方を練習したりします。こうした訓練を通して、認知機能や計画性を鍛えることで、実際に日常生活での自立度が約20〜30%向上したという報告もあるんですよ。
カナ:具体的にはどんなメニューがあるのですか？たとえば買い物訓練はどのように進めるのでしょう。
和田:買い物訓練は、まず計画を立てることから始めます。例えば、献立を考えて買うべき品目を書き出す。その後、実際に施設内の模擬店や近くのスーパーを使って買い物をします。金額の計算や支払い手続きも訓練に含まれていて、こうした過程で認知機能の改善を目指します。認知機能はMMSEスコアで評価しますが、こうした訓練を続けることで平均してスコアが2〜3点上がるケースもあります。
カナ:買い物や計画はわかりました。ほかにどんなことがIADL訓練で改善されるのですか？
和田:電話のかけ方や薬の管理、公的手続きの経験についても取り組みます。たとえば電話の訓練では、会話の流れを覚えることで言語的な認知機能が強化され、これによりコミュニケーション能力が高まります。薬の管理では、1日の服薬の時間を守る訓練や、薬の名前を正確に理解することで服薬ミスを減らせます。こうした訓練を3ヶ月続けると、日常生活での薬の管理ミスが約40%減少したデータがあります。
カナ:訓練を続けることが重要なのですね。長く続けると、生活全体がどう変わりますか？
和田:継続的なIADL訓練によって、介護度の改善や自立度の向上が期待できます。具体的には、介護認定で要介護1だった方が要支援1に下がったケースがありますし、歩行や日用品管理ができるようになることで、自宅での日常生活の質が大幅に向上します。自分でできることが増えると、本人の自信にもつながり、うつ症状の軽減も報告されています。
カナ:リハビリの効果を数字や評価で見ると、家族としても安心できます。最後に、祖母がリハビリに取り組みやすくするために家族としてできることはありますか？
和田:はい、家族のサポートはとても大切です。たとえば買い物のメモを一緒に作る、薬の管理表を見守る、電話のかけ方を一緒に練習するといった具体的な支援が効果的です。これによってモチベーションが保たれやすく、訓練の効果も持続しやすくなります。さらに、日々の小さな成功体験を褒めることも、継続の大きな助けになります。
どのような利用者がIADL訓練（Instrumental ADL）の対象になりますか？</h2>
カナ: IADL訓練の対象になる利用者はどんな人でしょうか？祖母がデイケアへ通うときに、どのようなところを見ておけばいいのか知りたいです。
和田: カナさん、いい質問ですね。IADLというのは「手段的日常生活動作」という意味で、単なる着替えや食事といった基本的な動作よりも、もう少し生活を自立的に送るための動作のことです。例えば買い物や家計の管理、薬の管理、電話をかけるといったことです。一般的に、これらが不安定になってきた方がIADL訓練の対象になります。
カナ: 具体的に、どんな問題があるとIADL訓練を始めることになるのですか？
和田: たとえば、買い物に行くのは大丈夫だけど、予算内で必要なものを選ぶのが難しくなってきたとか、薬の飲み忘れが増えたとかですね。認知機能の評価としては「法定直接観察指数（Lawton IADLスケール）」という検査があります。これは8項目を点数化するもので、8点満点中、5点以下だと支援が必要と判断されるケースが多いです。
カナ: その訓練内容はどのようなことをするんでしょう？祖母は足腰が弱いのも心配なので、身体も動かす必要があるかと思います。
和田: そうですね。IADL訓練は生活の質を保つための動作を練習します。具体的には、家事の動作練習、買い物シミュレーション、薬の整理と管理、電話や公共交通機関の利用練習などがあります。また身体機能も同時に支援します。例えば、立ち上がり運動や歩行訓練、ストレッチ、簡単な筋力トレーニングを週に3回ほど行います。
カナ: それらの運動や訓練を続けると、どんなふうに改善するのでしょう。数値で教えていただけると助かります。
和田: 例えば歩行能力なら、10メートル歩行テストが使われます。通常、15秒以上かかっていた方がリハビリで12秒台に縮められることも珍しくありません。また、手指の動作訓練によって「腕上げテスト」が改善し、食事や着替えがスムーズになります。IADL評価でいえば、訓練開始時に5点だった方が半年間の継続で7点以上に上がる例もあります。
カナ: なるほど、家でのお世話が少し楽になるということですね。リハビリが続けられるか心配なのですが、施設ではどうやってモチベーションを保ってもらうのでしょうか？
和田: デイケアではレクリエーションや他の利用者との交流も行います。例えば、買い物訓練の後にみんなで買ったものを使って料理をしたり、趣味の活動を一緒にすることで生活の楽しさを感じてもらいます。モチベーションが上がると、訓練の成果も出やすくなりますよ。
カナ: そういう人との交流も含めて訓練なんですね。ありがとうございます、和田先生。祖母のためになりそうです。
IADL訓練（Instrumental ADL）にはどんな専門職が関わっていますか？</h2>
カナ: IADL訓練にはどんな専門職が関わっているのでしょうか？
和田: カナさん、IADL訓練というのは、日常生活の中でも少し複雑な動作、例えば買い物や料理、電話の利用などを指します。この訓練には主に作業療法士（OT）とケアマネジャー、場合によっては看護師も関わります。作業療法士は利用者さんの動作を分析し、具体的な動きの練習や環境調整を提案します。例えば、包丁の持ち方や料理の段取りの指導を行います。
カナ: 作業療法士さんが具体的にどんなリハビリをするのか教えてもらえますか？
和田: 例えば買い物訓練では、実際に施設内で買い物の動作を模擬的に行います。価格の比較やお金の計算も含めて練習します。これは認知機能の改善を促し、認知機能評価の一つであるMMSE（ミニメンタルステート検査）スコアが、継続的な訓練で2〜3点改善するケースもあります。また、料理の訓練では包丁の操作や手順の順序を練習し、手指の器用さを評価する「FIM（機能的自立度評価）」でスコアが上がることが多いです。こうした訓練を通じて、例えば「買い物や調理が自分でできる」という自立度が向上し、日常生活の質が高まるんです。
カナ: ケアマネジャーや看護師はどのように関わるのですか？
和田: ケアマネジャーは利用者さんの生活状況を把握し、IADL訓練が利用者さんの目標やニーズに合っているか計画を立てます。看護師は健康面のチェックや服薬管理を行いつつ、訓練の安全をサポートします。例えば血圧や血糖値の変動がないか確認し、過度な負担を避けられるようにする役割ですね。これらの専門職が連携をとることで、利用者さんに合わせた最適な訓練が実現します。
カナ: なるほど。それによって祖母の生活は具体的にどのように変わるか教えてください。
和田: 例えば買い物で言うと、介助なしでも個々の品物を選んで支払いまで自分でできる自立度が上がれば、週に2〜3回の外出が可能になり、社会的な交流も増えます。調理も自分でできる範囲が広がると、栄養バランスが整いやすくなり、体力の維持・向上に繋がります。こうして自分でできることが増えると、認知機能の低下を遅らせられるといった研究結果もあります。利用者さんのFIMスコアで5点前後の改善が見られると、要介護度の軽減にも繋がることがあります。
カナ: 専門職の連携が重要なんですね。リハビリの頻度や期間の目安はありますか？
和田: 通常、週に2〜3回、1回あたり30分から1時間の訓練を3ヶ月ほど続けるケースが多いです。その間、作業療法士が毎回動作の変化を評価し、必要なら訓練内容を調整します。継続することで、先ほどの認知機能テストや動作チェックの数値に現れた改善が安定しやすくなります。
カナ: とても参考になりました。ありがとうございます、和田先生。
IADL訓練（Instrumental ADL）を自宅でも応用する方法はありますか？</h2>
カナ: IADL訓練を自宅でも応用する方法はありますか？
和田: カナさん、IADL訓練というのは日常生活の中で少し難しい動作、例えば買い物や料理、薬の管理などを自力でできるようにする訓練のことです。自宅での応用も十分に可能ですよ。具体的には例えば買い物のリストを一緒に作ってもらい、そのリストを見ながら段階的に買い物に行く練習をするといった具合です。
カナ: 買い物の練習はわかりましたが、他にはどんな具体的な訓練方法がありますか？
和田: 他に例えばお薬の管理なら、実際にお薬カレンダーを使って日にちごとに分ける作業を行います。これにより、その方の認知機能が改善される傾向があります。実際のデイケアで行うと、3ヶ月でお薬の管理能力が約20%改善する評価が出ています。また、料理も簡単なメニューからスタートして、計量や手順書きを活用しながら段階的に進めることで、自立度が上がります。
カナ: 自宅で訓練を続けるにはいつどのくらいの時間を目安にすればいいのでしょうか？
和田: 通院リハビリでは1回30分から45分程度のセッションを週に2〜3回行うのが一般的です。ただ自宅でやる場合は、ご家族のサポートも大事なので、1日15分程度の短い時間を数回に分けて取り組むのが効果的です。無理なく続けられることが一番ですから、例えば朝の薬の準備や買い物の計画を時間に組み込んで日課にすると良いですね。
カナ: IADL訓練を続けることでどんな変化が期待できるのでしょうか？
和田: 継続することで例えば、薬の飲み忘れが減ったり、買い物や料理の自信がつき、結果的に介護の手間も減ります。数値的には認知機能テストであるMMSE（ミニメンタルステート検査）などで3ヶ月～6ヶ月で1～2点改善しやすくなるケースが多いです。何より、ご本人の生活の質が向上して、日々の動作がスムーズになるのが大きな成果です。
カナ: デイケアでの専門的なリハビリと自宅訓練とでは、どうやって使い分ければいいでしょうか？
和田: デイケアでは看護師や理学療法士、作業療法士が個別に評価し、体力や認知機能に応じた専門的なプログラムを組みます。例えば、バランス訓練や筋力アップの運動、認知訓練ゲームなどを取り入れています。一方、自宅では日常生活動作での練習が中心です。デイケアで習ったことを自宅で反復すると、より効果的に改善が見込めます。両方がセットになるのが理想ですね。
カナ: それなら祖母もデイケアで専門的なリハビリを受けながら、自宅での訓練も続けられるようにしていきたいと思います。和田先生、丁寧に教えていただきありがとうございました。
和田: いつでも疑問があれば遠慮なく聞いてくださいね。祖母様の生活がより良くなるお手伝いを私たちも精一杯させていただきます。
デイケアでのIADL訓練（Instrumental ADL）の進め方やスケジュールはどうなっていますか？
カナ:デイケアでのIADL訓練の進め方や、1日のスケジュールはどのようになっていますか？具体的に知りたいです。
和田:カナさん、IADLというのは「手段的日常生活動作」といって、買い物や料理、電話の使用など、日常生活の中で少し複雑な動作を指します。デイケアではまず、スタッフがお祖母様の現在の状態を詳しく確認します。例えば、買い物で失敗しやすい、料理の段取りがうまくいかないなどの課題を把握します。
そして、それを踏まえて訓練プログラムを一人ひとりに作成します。1日のスケジュール例ですと、午前中は体操やストレッチを行い、身体の柔軟性と筋力を高めます。例えば立ち上がりや歩行速度が改善できるよう、10メートル歩行のタイム測定を行い、今10秒かかっている方なら、リハビリ後には8秒まで縮めることを目標にします。
午後は買い物の疑似練習や電話のかけ方など、実際の生活に近い形でIADL訓練をします。これによって判断力や手先の動きが鍛えられ、認知面や運動面の機能が向上します。全体で1日6時間程度のプログラムが基本です。
そして、それを踏まえて訓練プログラムを一人ひとりに作成します。1日のスケジュール例ですと、午前中は体操やストレッチを行い、身体の柔軟性と筋力を高めます。例えば立ち上がりや歩行速度が改善できるよう、10メートル歩行のタイム測定を行い、今10秒かかっている方なら、リハビリ後には8秒まで縮めることを目標にします。
午後は買い物の疑似練習や電話のかけ方など、実際の生活に近い形でIADL訓練をします。これによって判断力や手先の動きが鍛えられ、認知面や運動面の機能が向上します。全体で1日6時間程度のプログラムが基本です。
カナ:買い物の疑似練習というのは具体的にどんなことをするのですか？
和田:例えば、スーパーでよく使う商品リストから必要なものを選んでもらい、実際のお金のやり取りを想定した計算練習をします。計算が難しい場合は数字の認識から練習し、徐々にお金の使い方を身につけていきます。また、買い物のスケジュールを守る練習もします。こうした訓練で、認知機能の一部である記憶力や実行機能が数週間で向上し、認知機能検査のスコアが平均して5点ほど上がる例もあります。
カナ:歩行速度の改善のためにはどんな訓練を行いますか？具体的に教えてください。
和田:歩行速度を上げるために、まずは体幹や下肢の筋力トレーニングを行います。椅子に座ったままの足踏みや、立ち上がり動作を繰り返すことで筋力がつきます。それから、平坦な場所での歩行練習を10分程度行い、後は段差昇降の練習もします。これによって、転倒リスクが減り、歩行時の安定性が増します。
平均的には、週3回、3か月間の訓練で歩行速度が0.1〜0.2m/秒アップし、転倒率が20％ほど減少すると報告されています。歩行速度が0.6m/秒未満だと生活の自立度が低くなる傾向にありますので、0.8m/秒以上を目指します。
平均的には、週3回、3か月間の訓練で歩行速度が0.1〜0.2m/秒アップし、転倒率が20％ほど減少すると報告されています。歩行速度が0.6m/秒未満だと生活の自立度が低くなる傾向にありますので、0.8m/秒以上を目指します。
カナ:そうすると、こうした訓練を続けることで日常生活にどんな良い変化がありますか？
和田:継続的なリハビリで筋力や認知機能が改善すると、転倒による怪我のリスクが減りますし、買い物や料理も自信を持ってできるようになります。そうすると外出回数が増え、孤立感の軽減や生活の質の向上につながります。実際に利用者様からは「家族に頼らず自分でできることが増えた」と喜ばれることが多いです。
カナ:ありがとうございます。リハビリの期間や頻度はどのくらいが標準でしょうか？
和田:多くの場合、最初の3か月間は週に2〜3回の通所リハビリが理想的です。その後、状態に応じて頻度や内容を調整します。回復が安定してくれば、月1〜2回の維持的な訓練に切り替えることもあります。リハビリを始めてから3か月で運動機能評価（たとえばFIMのスコア）が平均5〜10ポイント向上するケースが多いです。
カナ:なるほど。最後に、IADL訓練を行う環境について教えていただけますか？お祖母様が安心して取り組めるように知りたいです。
和田:当施設ではスタッフが常に見守り、安全を確保しながら訓練を行います。車椅子や歩行器を利用されている方も専用のスペースでできるよう配慮しますし、心配な認知症の症状がある場合は専門のスタッフが個別対応します。加えて、グループでのレクリエーションも取り入れることで、社会的な交流も増やし、意欲を引き出す工夫をしています。カナさんのお祖母様にも安心して参加していただけると思いますよ。